考え抜いた文章を、豊かな英文で伝えるために。

海外向けに英文広告を作成する時、どんなことを気を使うべきでしょうか?

「正しく伝わるように、正しい文法で」もちろんこれは基本です。

技術的な説明書や使用書は、何より正確さが求められます。
しかし、セールスのための文章には、正確さ以上のものが求められます。

なぜなら、特に、セールスのためのキャッチコピーやリード文は、対象者の心を惹き付けることが目的だからです。「目をとめて」「読んで」「記憶にとどめて」「次を読ませる」ために、考え抜かれ、様々な工夫がされています。この考え抜かれた様々な工夫は英文に翻訳しても豊かに伝えられるべきです。

それが行なわれなければ、コピーとしての役割の薄れた、駄作英文コピーとなってしまいます。

告知の対象を、日本から英語圏へ代えるなら、表現手法を変える必要が出る場合もあるでしょう。

日本語で作られた文章を「正確に伝わるように、正しい文法で」翻訳しただけでは、英語圏の方を惹き付ける英文は作れないのです。

 

考え方、受け取り方、伝わり方の違いについて考える

日本人と英語圏の人では、考え方、受け取り方が異なる場合が多いものです。

例えば、日本人がアメリカンジョークを解りにくいと感じるのと同様に、アメリカ人も日本的な表現が解りにくいものです。考え方・受け取り方が異なるため、単に正確に伝えるだけでは、理解しにくいのです。

また、近年は、日本人もライフスタイルにバリエーションが見られるようになりましたが、少し前までは、皆、似たようなバックグラウンドを持っていました。(同じように学校へ行き・働き・結婚し・子供がおり・テレビ番組を共有する。)
このため、きちんと説明をしなくても「共感できる」ことが多くありました。

ですから、日本人向けのコピーは、日本人特有の共通のバックグラウンドに焦点を当てることで、効果を上げる手法もあります。専門家は、調査を重ね、そのような日本人独自の感性を”狙ったコピーを造る”ものです。

しかし、はからずともヒラメキで作られたコピーが、上記のような効果をたまたま持ち合わす場合があります。そして、その表現が日本人固有のものだと、本人ですら気づいていない場合があります。
そのようなコピーを、そのまま英文にすることは、どれだけ英文法が正確でも「伝わらない」という問題が起こるでしょう。

 

どのように表現するべきかを考える

英語圏の対象者へ伝えるためには「言い換える」「補助する」こと。
また、同じ感性は「活かす」ことが、心に響く豊かな表現をする上で、大切なポイントだと私は考えています。

1:伝わるように言い換える、補助する


日本人向けセールスのためのリード文例:

こし・抹茶・小倉の水羊羹に、サッパリとした果実のゼリーのアソートです。さらに、筒から押し出すタイプのくずきりは、ご家族で楽しんでいただける夏の贈り物です。

よくあるお中元ギフトの商品説明文リード文です。日本人としてはすんなり理解できるこの文章ですが、外国人にとって不適切です。

  • なぜ夏にお勧めなのかが分からない。
  • なぜ家族で楽しんでもらえるかが分からない。(お金を出しているのに、さらに自分で作る工程があるというのは、損をした気分になる上に、上手にできるか分からず、ギフトとして心配になる。)
  • 水羊羹・くずきりが、どういうものかが分からない。
  • 英語圏では、「筒から押し出すタイプ」という表現は、歯磨き粉がチューブから押し出されるイメージがあり、おいしさを感じられない。

これらのことから、日本語原文を改善する必要があります。

①日本の夏は蒸し暑いからさっぱりとしたデザートがおすすめであることを伝える。
②造る事の楽しさ・だれでも簡単に新鮮なものを造れることを伝える。
③水羊羹・くずきりについて補足する。
④「筒から押し出すタイプ」という表現を抵抗なく受け入れられ、簡単に理解できるような説明に変更する。


英語圏の方向け商品セールスのための伝わるリード文例:

日本の蒸し暑い夏にぴったりのさっぱりしたお菓子を紹介します。
果実ゼリーと、日本の伝統的な和菓子、葛切り(葛粉から作られた甘い麺)と羊羹(甘い豆ペーストし固めた菓子)のセットです。この商品の葛切りは、葛切りを作る最後の工程:麺状に加工するキットが含まれています。
キットは誰でも簡単使用できるので、子供や、初めての人でも安心です。
楽しく新鮮な葛切りを作ることができるこのキットは、皆で楽しむことができるため、人気の商品です。

We’d like to recommend a set that’s perfect for the humid summer – fruit jelly and traditional Japanese sweets called kuzukiri (sweet noodles made from kudzu root) yokan (sweet bean paste cut in slices).
This set contains a kit for performing the final step in making kuzukiri noodles. It’s easy to use and safe for children and people unfamiliar with this Japanese sweet. Because this set allows everyone to have fun while making fresh kuzukiri, it’s particularly popular.

 

2:同じ感性は活かす

言い換える、補助する他に、日本人にも英語圏の人にも同じように受け取られるような表現は、活かすべきです。

例えば、遊び心。

キャッチコピーには遊び心に溢れた魅力的なものが多く、「目をとめて」「読んで」「記憶にとどめて」という効果に役立っています。
言葉遊びは文法的に正確でなかったり、稚拙な表現と思われることもあります。しかし、遊び心を排除してしまっては「惹き付け」が無くなってしまいます。伝わるだけでは、コピーとしては役不足であるため、どのように言葉遊びを活かすかはコピーを翻訳する上で大きな課題です。

(例1)逆説的な表現「○○でも、××」
通常ならできないことが、できるシチュエーションを言葉のコントラストで強調させることで、「ハッとさせる」効果があります。


「ホームライブラリーが、外でも楽しめる」

※通常なら外に持ち出せない家庭用ゲームデータや音楽を、モバイル機などに引き継いだり、クラウドを利用して楽しめること伝えたい場合。
Play your home library, even on the go.「even」を入れることで、対称性を際立たせています。また、文章を「,」で前後に区切ることで、比較部分をリズミカルに読める様にしています。これをPlay your home library away from home.(ホームライブラリーを家から持ち出して楽しめる) / Play your home library outside.(ホームライブラリーを外で楽しむ)」などと翻訳してしまうと、英語圏の人にとっては、素っ気ないコピーとなってしまいます。
 

(例2)スギル表現「○○すぎる×××」

過言表現/過剰表現の意味合いから派生した、最近ハヤリの表現です。

悪い意味での過剰性を、良い意味と置き換えることで意外性を持たせ、惹き付ける効果があります。
また、語が単独では持ちえなかった絶妙な感覚を表現できます。文字数制限があったり、リズムを大切にする場合などに特に有効な表現方法のひとつです。


「完璧すぎる」ウイスキー
Unnecessarily well made

※MHD英語サイト原文まま。(さすがにきちんと翻訳されています)

Unnecessarilyは、「不必要に/むだに」という意味があり、悪い意味で使われます。しかし、この場合はやりすぎと思えるほど信じられないほどよく作られているという言葉遊びを含んでいます。
MHD(https://www.mhdkk.com/en/brands/


ニュアンスが割愛されてしまった翻訳例:「信じられないほどよく作られた」ウイスキー。
Unbelievably well made

上記例ですと、伝わりはするが、ニュアンスが翻訳から漏れてしまっている状態となり、コピーとしては弱い印象となります。

 

我々のように「仕事」として翻訳する際は、日本人と英語ネイティブが協力して心に響く翻訳は行なわれるべきです。
ただ、英文翻訳を必要とされている方の中には、自力で行なわなくてはならない事情があったり、高いレベルのスキルを持つ人が身近にいない場合もあります。

その時はぜひ、日本語でつくられたコピーは、何を狙って作成されたのか?を分析してみてください。
そして、外国人になったつもりで想像力を駆使して翻訳する。

これだけで、心に響く英文へ近づくはずです。ぜひ、正確な翻訳の一歩先を目指してください。

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日本には世界に誇れる文化や商品があります。しかし、未だ発信できていないモノや、正しく伝えられていないコトがあります。この残念な状況を打開すべく、私は英文広告作成サービスを本格化することに決めました。英告堂では、日本人とアメリカ人が協力し、英語と広告デザインで、貴方の持つ価値を適切に世界へ発信するお手伝いをいたします。

このブログの執筆者:AKIKO SANO
筑波大学芸術専門学群グラフィックデザイン専攻2000年卒/印刷会社勤務の後、製茶メーカー商品開発及び広報を担当/大手自動車メーカー公式サイトディレクターとして主に世界中で展開されるCSR・環境・社会貢献活動をWEBで紹介する業務に従事/2006年より独立。2017年4月より英文広告制作に力を入れるべく英告堂を立ち上げ、サービス開始。

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