当たり前のことですが、費用はかけるべきところにかけ、削るべきところを削るべきですよね。
しかし、広告費の内訳をきちんと理解できていないばかりに、無駄な費用を支払っている状況を頻繁に見聞きします。そういう話を聞くと、広告作成を生業にしている者として残念な気持ちになります。
例えば、あなたが作ろうとしている広告物に、デザインの工程は必要でしょうか? それよりもっと必要なことがありませんか? ぜひ一度考えてみてください。
必要な工程と不要な工程
広告物の戦略・内容・デザインイメージを具体的に吟味できているなら、あなたの意思を汲み取り、叶えてくれる腕のよいオペレーターが必要で、ディレクターやデザイナーは不要です。
あるいは、あなたが持つ問題には、広告物作成よりもっと効果的な解決法があるかもしれません。その方法を探るのなら、必要なのはディレクターでしょう。
今使っている広告物が効果を出せない原因は、デザインではなく、文章にある場合があります。文章の見直しには有能なライターが必要になるでしょうが、デザインは現状のままで構わないかもしれません。
どのような状況で、どのような理想を叶えたいかを整理することは、不要な工程に気づく助けになります。この「整理してみる」という行動は、よい広告物作成のためだけでなく、今後の展開をよい方向に進める重要な工程であると私は考えています。
では、費用の内訳に繋がる広告物作成の工程について考えてみましょう。
- ディレクション
問題を認識し到達目標を設定して、スケジュール管理をしながら指揮をとる。 - デザイン
到達目標達成のために見た目や雰囲気を整え、見える形に表現する。文字や写真・イラストをどのように配置するかを決定する。 - データ作成オペレーション
デザイナーの指示のもと、実際に媒体を作成するためデータを作成する。 - ライティング
取材・ヒアリングした内容をテキスト化する。 - 翻訳
文書に書かれた文章を他の言語で記述する。 - 撮影撮影
写真や動画などを撮影する。 - 素材(イラスト)作成・購入
イラスト・背景素材などを描いたり購入したりする。 - 印刷・媒体への掲載
- 発送
※工程名が含む内容は、業種や組織によって異なります。
これらは、一般的な広告物作成のために必要なものです。
あなたが担当できることがあれば、費用を抑えられる可能性があります。
しかし、できる事であっても「あえてしない」という選択肢もあります。あなたは本来のやるべき事に力を注ぎ、広告物作成は専門家におまかせするという考え方です。また、「これだけの工程があるとは知らなかった」と思われるのであれば、適切な広告会社に1からお願いすることをお進めます。
広告会社の運営方針も様々ですから、依頼する際は、どのような方針の会社なのかを見極めることを忘れないでください。ディレクションからじっくり取り組むところ。デザインを重視するところ。スピードを重視するところ。印刷を請けることがメインで簡単なデザインオペレーションのみ受け付けているところなどです。
「A4チラシを1000枚作る」に含まれる工程や対応レベルは広告会社によって様々。各々の広告会社のメリットデメリット理解し、選択することは、あなたにしかできない事。提示された価格は何を含んだ価格なのか?を知る事はとても大切なことです。場合によっては、コンサルティング会社とデザイン会社を併用してもよいでしょう。
高い費用を支払えば良い広告物ができるのか?
高いのだから良い物を作ってくれるだろうと考えるかもしれません。しかし、そうではありません。
あなたがすでに具体的なアイデアを持っているにも関わらず、ディレクションを依頼した場合、貴方の意図とは別の提案を受ける可能性があります。良い提案の場合もありますが、あなたが「自身の考えを試したい・実現したい」と思っているのであれば、費用と時間がかかる割りに自身の考えが実現ができないのですから、残念な提案といえるでしょう。
また、あなたとディレクターの考えの間をうっかり採用してしまえば、どっちつかずであやふやな、何を言いたいのか分からない広告物が出来上がってしまう可能性もあります。
高い費用を支払わなくても、貴方が具体的なアイデアを持っており、ディレクターとデザインの工程を受け持てるのであれば、オペレーター業務のみ依頼することで安く効果的な広告物を作成することができるのです。
しかし、あなたがどの工程も受け持てないのであれば、安易に安く作りたいと思うことは危険です。安い費用の中には必要レベル・必要な工程が含まれていなことが多いからです。戦略が練られておらず、文章もデザインも稚拙なレベルの広告物は、効果が発揮されるどころか、信頼を失う可能性すらあります。
満足できる広告物を納得できる費用で作成するために、本当に必要な物は何かを、ぜひ一度吟味してみてくだい。
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