感嘆詞「!」を、テレビやネット、街中の広告で多く目にします。
気軽に使えることに加え、「!」の持つ、勢いや賑やかな印象はユーザーの目を止めたり、購入を後押しする効果があり、便利に使われているのでしょう。
しかし「!」は、ありふれすぎたためか、最近ではノイズとして扱われる傾向にあります。
英語圏では特に顕著なため、英文作成時には注意が必要です。
「!」に対するネイティブの感想
- 文章が読みにくい
- チープなイメージで、子供っぽさを感じる
- 粗悪な内容を大げさに見せようとしているようで、懐疑的になる
英語圏では、テレビショッピングやインタ—ネット広告が早くから出回ったこともあり、強調されて売られる商品やサービスが “良いものとは限らない” ということを、ユーザーがより早く学んだ結果かもしれません。
実際に、海外のメーカーと日本のメーカーを比較すると「!」の使用頻度に違いに気づきます。
同業種別「!」の使用頻度比較(2017年4月現在)
- マクドナルド(米)0個 × モスバーガー(日) 14個
- バドワイザ—(米)0個 × アサヒビール(日) 21個
- ナイキ(米)0個 × ミズノ(日)9個
海外メーカーのサイトでは、使用頻度が0にも関わらず、日本の同業種のサイトでは「!」が多様されています。
また、任天堂ではほぼ同じ内容であるにも関わらず、英語ページ0個、日本語ページ11個と、言語によって「!」の使用頻度が異なっており、言語ごとの表現方法の違いを見る事ができます。(2017年4月現在 トップページのみの比較)
キャンペーンが少ないことも「!」の使用頻度が少ない理由のひとつです。
キャンペーン広告には「今だけ!」「限定!」「1,980円!」と、大げさな煽り文句が目白押しです。このためキャンペーンが無いだけで「!」の頻度は下がります。
必然的に理解しやく価値を正しく認識しやすい文章で構成されることになります。
なぜ、英語圏ではキャンペーンが少ないのでしょうか?
日本では、キャンペーンは「お得に商品やサービスを入手できる限定期間」という認識があります。
メーカーは注目を集めるこの期間に、より良い評判を残すため良い商品を提供します。
そして、ユーザーはお得に商品やサービスを手に入れることができる、という良い循環になっています。(時に粗悪なものもありますが)
しかし、英語圏では、キャンペーンで売り出される商品には、在庫処分やアウトレット等、なにかユーザーに不利な事情があるのでは?と原因を探る傾向があります。これは商品価値やブランドイメージを下げるきっかけとなるため、メーカーがキャンペーンを好みません。
キャンペーンは売り手側の事情であることを、ユーザーに見抜かれているのです。
冷静に見極めたい人にとって、キャンペーン自体が知りたい情報を見えにくしてしまうノイズです。
その上「!」が多様されれば、広告を見てもらう、読んでもらうという最低限の土俵にすら上がれません。
内容を伝える、共感させるというステップへ進ませることはできないのです。
そもそも広告は売り込みのための情報です。基本的には見たくないものの部類に入るため、ユーザーにストレスを感じさせる不用意な表現は削ぎ落すべきだと、私は考えています。
マーケットとユーザーの関係性が日本と異なる英語圏への広告では、日本で通用する手法が逆効果になる場合があります。
日本の広告にありがちなイメージや煽るだけのキャッチコピーに頼りすぎることなく、冷静で確実に価値が伝わる手法が大切です。
英告堂では、日本との差異に意識を向けながら、伝わる広告のための英文とデザインを作成しています。